こんにちは、Ram助です。この度「まんがタイムきららフォワード」の2巻乙作品（全44作品）を読破しました！ 他の雑誌にも劣らぬ個性派揃いでした。読破の記念に、私が個人的に名作だと思った作品、『Dead or LIVE！』を紹介します。
フォワードの2巻乙といえば結構影が薄く、いまだに話題に上がるのは『双角カンケイ。』ぐらいだと思っています。そんなフォワードの2巻乙の名作を発掘していきたいので、この記事を開いて下さった方には最後まで読んでいただけると幸いです。
作品情報
作品名：Dead or LIVE！
作者名：結城えいし*1
ゆえ (@jue_p) / Twitter
掲載誌：まんがタイムきららフォワード
掲載期間：2011年2月号～2012年2月号
単行本発売日
1巻：2011年7月12日
2巻：2012年1月12日
ジャンル：SF、音楽モノ
あらすじ
オルフェ――それは常に音楽を聴いていなければ死に至る種族。オルフェたちにとって、生存に必要不可欠となった音楽はもはや空気に等しく無価値となっていた。そんな中、無音の世界から生還した経験を持つオルフェの少年・昇は、それ以来見るようになった"歌う女神"そっくりの少女・咲良と出会う――。*2
本作の魅力
その1：独創的なのに設定が分かりやすい。
あらすじを読んでいただければわかる通り、本作はSF要素を含む作品です。SFといえば、小難しい設定が多く取っつきにくい印象がありますが、本作は3つの専門用語を覚えていれば問題なく読めます。それじゃあ内容が薄いかと言えばそんなことはなく、この3つの設定だけで独自の世界観を構築しています。
オルフェ
作品世界の地球に住む種族。外見や身体能力は人間とほぼ同じだが、「常に音楽を聴いていなければ死に至る」という性質を持つ。
人間は宇宙へと移住し、地球にはオルフェだけが取り残された。オルフェと人間は対立関係にある。
絶絃症候群（ぜつげんしょうこうぐん）
オルフェが音楽を長時間聴かないことで発症する症状。発症すればほぼ死ぬ。人間でいう「窒息」。
ライラフォン
オルフェが絶絃症候群を防ぐために常に装着している音楽プレイヤー。ヘッドホン・イヤホンなど形は様々。人間でいう「酸素マスク」。
その2：世界観とテーマ。
本作の舞台は、音楽を聴いていなければ生きていけない種族・オルフェが住む地球。そこでは音楽が丁重に扱われている……訳ではなく、音楽は無価値なものになっていました。本作での音楽は空気に等しく、「生きるのに必要不可欠だけど特別大事にされるわけではない」ものです。このようにSFチックな設定を等身大に落とし込んおり、独自性と読みやすさを両立しています。
そんな世界観で、音楽の価値を問うのが本作です。音楽が好きな方も、そうでない方も、音楽とは何かを改めて考えさせてくれます。
その3：キャラクターが魅力的。
本作は登場キャラクターが全員魅力的です。キャラクター数も控えめで、無駄がない印象です。
以下、メインキャラクター4人を紹介します。担当パートは主人公たちが結成するバンドのパート。
降谷 昇（ふるや のぼる）男・オルフェ パート：ギター
本作の主人公。
音楽が好きなオルフェ。過去に絶絃症候群を発症したが生還した、という過去を持つ。この事件以降、ライラフォンを外し静寂状態になると女神が見えるようになった。作詞作曲する時はこの状態になってイメージを引き出す。
音楽に対して一途。良くも悪くも、自分で決めたことに突き進むタイプ。
細美 咲良（ほそみ さら）女・人間 パート：ボーカル
本作のメインヒロイン。単行本表紙の子。
昇が見る女神に瓜二つな少女。その歌声は聴いた者すべてを魅了する。しかし本人は歌うことにトラウマがあるようで…。
オルフェを装っているが、実は人間。身に着けているライラフォンも曲が入っていないダミー。
小野瀬 真青（おのせ まお）女・オルフェ パート：ベース
主人公・昇の幼馴染。昇のことを「しょうちゃん」と呼び、露骨に好意を抱いている。
基本的に明るく元気で、誰とでも仲良く接することができる。しかし、上の人間を明確に敵視している。
作品とは何の関係もないが、私の推し。
佐久間 純一（さくま じゅんいち）男・オルフェ パート：ドラム
主人公・昇の幼馴染。
見た目チャラ男で、性格も軽い。一方で、バンドの練習時間以外でもこっそり練習している努力家な一面も。
難病をかかえる妹・せつなのために毎日バイトに勤しむシスコン。
その4：伏線もある。
本作はSF漫画だけあり、伏線もそれなりにあります。ここまでの記事の伏線要素をまとめるとこんな感じ。
- なぜオルフェは地球に置き去りにされたのか？
- なぜ昇は絶絃症候群から生還できたのか？
- なぜ昇には女神が見えるのか？
- なぜ女神は咲良にそっくりなのか？
- なぜ咲良は歌うことにトラウマがあるのか？
- なぜ真青は上の人間を頑なに敵視するのか？
こうしてまとめてみると結構多いです。しかしこれらの伏線は最終回までにしっかり回収されます。フォワードの2巻乙といえばページ数が足りず、ストーリーを上手くまとめられない作品も多いですが、本作は単行本2巻以内でストーリーがしっかり完結しています。
まとめ
『Dead or LIVE！』の紹介記事、いかがだったでしょうか？ 音楽モノとSFを両立したハーモニーこそが本作です。個人的には『けいおん！』や『ぼっち・ざ・ろっく！』にも負けない名作だと思っています。この記事を読んで本作に興味を持った方は、ぜひ購読してみてください。
おまけ
本作のサブタイトルには実在の楽曲名が使われています。YouTubeのプレイリストにまとめたので、聴いてみてください。
Dead or LIVE！ - YouTube
